自社開発では、開発に携わったシステムや機能が、直接的に自社サービスの収益やユーザー満足度に結びつきます。自分の成果が会社の利益に直結するため、評価基準が明確になりやすいです。
受託開発の場合、エンジニアの成果は「クライアントの要望どおり、納期までに納品できたか」が主な基準となり、最終的な事業の成功や利益はクライアント側の評価に委ねられます。しかし、自社開発は結果についてのたしかな評価があります。ユーザーを呼び込み、売上や継続率の向上に貢献したという成果が、数字として可視化されるのです。
この透明性の高さにより、「この機能を追加したことで売上が20%伸びた」「この改善でユーザー離脱率が10%減った」といった具体的な貢献度を経営層や評価者にアピールしやすくなります。結果を出したことで、昇給・昇格に繋がることも大いにあるでしょう。貢献度が評価に反映される環境であればあるほど、モチベーションを維持しやすくなります。目標に向かって努力することで、なりたい自分に近づくことができるでしょう。
企画から開発、運用、改善まで、すべてのフェーズを自分たちで行う自社開発。この一貫性のある環境こそが、エンジニアに多様なキャリアパスを提供することになります。
特定の技術領域や工程に特化しがちな受託開発とは異なり、自社開発ではプロダクトを成長させるための幅広い視点と経験が求められます。技術を極める「スペシャリスト」や、難易度の高い課題解決を担う「エキスパート」、事業を牽引する「プロダクトマネージャー」など、役割もさまざまです。それぞれのポジションでスキルを磨くことで、将来的にプロジェクトマネージャーや最高技術責任者を目指すことができるでしょう。興味の方向性によっては、チームの生産性向上やメンバー育成を通じて、開発組織全体を率いていく「マネジメント職」に舵を切る選択肢もあります。自分の理想を追い求めやすいのは、自社開発ならではでしょう。企業によっては、スキルアップ支援に力を入れているところも多く、制度を利用しながらキャリリアアップを図るのもおすすめです。
自社開発で得られる実績は、自身の市場価値を高める資産となり得ます。開発に携わったWebサービスやアプリが一般に公開され、多くのユーザーに利用された場合、その製品そのものが、自分にとっての「最強のポートフォリオ」となるでしょう。
転職活動の際、「〇〇という知名度のあるサービスで、この機能の設計と実装を担当しました」と具体的に説明できることは、大きな強みです。面接官や採用担当者もその製品の品質や影響力を把握しやすいため、あなたの技術力や貢献度、ビジネス理解度を客観的に評価しやすくなります。特に、社会的に大きな影響力を持つシステムや、ユニークな技術で差別化されたアプリの開発に携わった経験は、そのまま「名刺」代わりとなり、市場価値を飛躍的に高めるチャンスとなるでしょう。